||| 佐々木泉web政務調査室・日本共産党愛媛県議会議員 ||| みなさんの疑問にこたえて愛媛県政を調査する政務調査・2009年分

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扶桑社版歴史教科書採択の現場

掲載日:2009.09.24 (木)

  愛媛県教育委員会は8月27日、県立中等教育学校(中高一貫校)3校の前期課程と特別支援学校の一部で使う歴史教科書に扶桑社版を採択しました。扶桑社版の歴史教科書はアジア蔑視や戦争賛美の内容のため各地で採択に対するきびしい批判・反対意見が起こっています。
 
  この日は上記の学校で使用する教科書全体を採択する会議でした。他の教科書にはさしたる意見もなく順調でしたが、歴史教科書の議論になるとにわかに委員が次々と発言を始めます。
  「扶桑社の教科書はこどもが主体的に学ぶことのできる、日本の歴史に愛着が持てるすばらしい教科書である」
  「自分の国の歴史や文化を愛し誇りのもてるすばらしい教科書」
  「扶桑社の教科書はその時代の人の考えで描かれているところがよい、今の私たちの考えで昔のことを考えてはいけない」
  「自由社のは字が小さすぎる、扶桑社のは大きくてよい」
  「国家・社会の発展に尽くした人が多く描かれていてたいへんよい」
  「その時代が生き生きと描かれており、よく調べて明らかにする学習への配慮がなされており、扶桑社のが適している」
  などと、口をそろえて扶桑社版の教科書を推奨しました。
 
  歴史教科書の役割は、自国の歴史をきれいに描いて見せることではありません。自国の歴史に誇りを持てるかどうかは歴史の事実に照らしてみなければなりません。私たちの国は明治以降の歴史の中で侵略と植民地支配を繰り返し、中国、朝鮮、台湾だけでなくアジアの諸国民に膨大な被害を与えてきました。これが歴史的な事実です。しかも戦後になっても歴代政権の不誠実な態度によって、中国の人々も朝鮮・韓国の人々も侵略と植民地支配の清算が終わったとは考えていません。
  戦前の日本人の民族差別意識は今では想像もできないほど激しいものでした。中国人や朝鮮人をさげすみ、日本民族が他民族より優位にあるとする考えは国民のすみずみにまで染みついていたのです。明治以降戦前の日本は、他民族に対する今では口にもできないような差別的な呼び方がごくふつうに人々の口にのぼる社会でした。内地でも植民地でも占領地でも日本人は中国人や朝鮮人を人間扱いしませんでした。これが当時の人々のふつうの考えだったのです。
  当時の人々の考えに立って歴史教科書を作れば戦前の教科書が出来上がります。
  また歴史教科書は司馬遼太郎の「坂の上の雲」のような大衆小説とは違います。読者を適当に楽しませるために日本人が気持よく読め優越感をくすぐられるように、あれこれ工夫をこらした作り物の歴史を子供たちに教えるわけにはいきません。
 
  愛媛県教育委員会のメンバーの歴史教科書の役割に対する認識は偏っています。歴史教科書は次の世代をになう子供たちに世界の歴史の到達点を学ばせ、ふたたび侵略や戦争を繰り返さないためにこそ日本が大きな役割を果たしてゆく、そのことに誇りを感じるようなものであるべきです。
 
  扶桑社版の歴史教科書はその内容があまりにも偏っているために批判が多く、全国でもごく少数の採択にとどまっています。しかし、県教委では6人が採択の採決に参加しましたが、6人ともがそろって賛成の手をあげました。特別な歴史観の持ち主が教育委員に選ばれているようです。日本の社会で一般に通用している多様な見解が教科書採択にも公正に反映されるような教育委員会の構成が求められています。

採択に参加した教育委員の名簿
役職 氏名 職業 ※上段は現在、下段は主な職歴
教育委員長 井関 和彦 会社役員
伊予木材代表取締役 大洲商工会議所会頭
教育委員 山口 千穂 --
西宇和郡PTA連合会顧問
教育委員 松岡 義勝 松山大学教授
県教育委員会指導部長 中央高校校長等
教育委員 伊藤 剛吉 会社役員
㈱大屋取締役社長 県商工会議所連合会副会頭
教育委員 井上 弘子
松山市立高浜小校長、東雲小校長等
教育長 藤岡 澄 県教育長
県保健福祉部長、県企画情報部長等

(党県会議員事務局・梶原記)

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